「最近、物忘れがひどくなった」
とおっしゃる方は多くおられます。
しかしご自分で言っている程度であれば、多くは加齢による仕方のないものであり、認知症というほどでもなく心配することはありません。
もし認知症だったとしても、軽度であるといえるでしょう。健康だとはいいきれませんが、治療・予防で認知症を十分回避できる段階です。
老人性の物忘れの特徴は「まだらに忘れる」ことです。つまり、何かの体験を部分的に忘れているというものです。
これに対し、「体験そのものを忘れてしまう」のが認知症です。
ご本人に自覚がなく、ご家族の方が「もしかして?」と疑問に感じて連れてこられる場合が多く見受けられます。
記憶には、覚えた直後に思い出す即時想起と、時間をおいて思い出す遅延想起があるのですが、遅延想起が苦手だというのが第1の特徴です。
また認知症によるものではなく、うつ病から来る物忘れという場合もあります。区別は難しいのですが、うつ病由来の物忘れは、治療により回復できます。