寝たきり疾患の骨折を予防する骨粗鬆症の治療は当院の掲げている大事な疾患のひとつです。骨粗鬆症の治療で大切な「骨密度」の数字。この数字をもとに、お薬を始めるかどうか、どのお薬を選ぶかが決まります。

ところが先日、あることに改めて気づかされる出来事がありました。

他の医療機関で骨密度検査を受けた患者さんが、結果を持って当院を受診されました。その数値大腿骨頚部骨密度YAM値55%という値を見て少し気になるところがあったため、心配されている患者さんに同意を取って、当院のDEXA装置でもう一度同じ部位を測定したところYAM値66%、なんと11%もの差が出たのです。

一方の数値なら「すぐに強いお薬を」、当院では「まずは標準的なお薬から」。治療の選択が変わりかねないほどの差でした。

なぜこんなことが起きるのでしょうか。

実は、骨密度測定装置にはいくつかのメーカーがあり、それぞれの装置で骨の輪郭を読み取る方法や、「若い人の平均値」として使うデータベースが異なります。同じ方の同じ骨を測っても、装置が違えば数字が変わることがあるのです。とくに大腿骨の付け根(頚部)は測定範囲が狭いため、ほんの数ミリの違いが大きな差につながります。

国際的な学会(ISCD)でも、「異なるメーカーの装置同士で数値を直接比べてはいけない」「治療効果の判定は同じ装置で追いかけるべき」という見解が示されています。

では、正確な測定のために何が大切なのでしょうか。

当院では、世界で使われている米GE社製DEXA装置を用い、診療日の毎朝、検査の前に必ず装置の校正(キャリブレーション)を行っています。これは装置が正しい数値を出しているかを確認する作業で、放射線検査技師が欠かさず実施しています。また、大腿骨の撮影では脚の角度を正確に合わせるなど、一つひとつの手順を丁寧に行うことで、再現性の高い測定ができるよう心がけています。しかし低いYAM値55%を出した他院の装置は、やはり国際的にも低い数値が出るとの評価を受けているものでした。

2025年に改訂された骨粗鬆症ガイドラインでは、「T-scoreを-2.5より上に改善させる」という具体的な治療目標が新たに設定されました。目標に向かって治療の効果を追いかけていくためには、信頼できる数字が出せる装置と、丁寧な測定がこれまで以上に大切になります。

「以前測った骨密度の数字が気になる」「本当にこの数字で合っているのだろうか」。そんな不安をお感じの方は、どうぞお気軽にご相談ください。当院では、国際的に評価がある装置を用い、しっかり整備されていることを確認したうえで、専門の技師が正確な方法で検査し、国際基準に合った骨密度評価をだしております。

さかぐちクリニック